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日本アサーション協会

CAATは、互いに「協働して自分を生きる試み」をする場:(平木先生の言葉から) 今岡まゆみ

 2022年8月13日、日本・精神技術研究所主催の「アサーション<自己表現>トレーニング 40周年記念イベント」が開催され、30周年記念イベントから10年が経ち、日本・精神技術研究所でアサーション・トレーニングを支えてきてくださった平木典子先生、沢崎達夫先生、八巻甲一先生が、これまでと現在、そしてこれからを語ってくださった。

 

 1982年に平木先生がアメリカで学ばれた「アサーション」というコミュニケーションのトレーニングを、日本でやってみようと主催してくださった日本・精神技術研究所及び当時の代表、関係する方々への感謝の言葉から始まり、人々への「敬意」が溢れる場で、人との関係の持ち方を改めて見せていただく機会となる。


 アサーション・トレーニングにおいて、この10年の大きな変化は、「認知」の捉え方に社会構成主義という世界観が語られるようになったこと、そして自己表現をベースにしながら、人とともに働きかけ合い、話し合い、援けあって生きるうえで大切な「相互尊重」と「相互作用」を学びながら、「協働=co-labor」していくことと受け取った。


 2015年に「マンガでやさしくわかるアサーション」(日本能率協会マネジメントセンター)はキャビン・アテンダントを主人公に、働く現場を想定した中でアサーションを学べるマンガとして、既に23刷だそうだ。2016年には「ビジネスパーソンのためのアサーション入門」(金井壽宏先生との共著:金剛出版)が発行されるなど、平木先生が組織にかかわる人々へのアサーション・トレーニングを探求され、日本アサーション協会の中心的講座であるCAAT(協働のためのアサーション・トレーニング)の開発につながっていったことを知る。


 日本において男性優位、権力(権威)を持つものが持たないもの(力が弱いもの)を従わせたり、思い通りにさせたりするのが当たり前だった時代に、アサーション・トレーニングが持つ意味は諦めることなく、くじけることなく、「自分の考えや気持ちは言っていいのだ」と後押しし続けてくれた40年という時間といえよう。力の差で勝ち負けを決めるのではなく、わかってもらおうと伝えること、聴こうとすることという丁寧なやりとりが生む可能性に触れ、どれだけ多くの人の援けに、支えになったことかと想像する。社会構造やディスコースへのレジスタンスとして捉え、下支えをしてくれるアサーションに力をもらい、確信を持てた人もいるのではなかろうか。わたしもその一人として、今も「またやった」と凹んだり、「苦労したが、わかりあえた」と喜んだりを繰りかえしながら、学び続けている途中である。

 40年をむかえ、日本・精神技術研究所で継続して学べる「アサーション<自己表現>トレーニング」と、日本アサーション協会で主催している「協働のためのアサーション・トレーニング(CAAT)」は、土台を共にし、それぞれのトレーニングの特徴を活かして発展していくことを願う。ともに活かしあう関係は何より安心である。


 平木先生が語られた講演のむすびの言葉は、「CAATは互いに『協働して自分を生きる試み』をする場」というものだった。


 わたしには、40年間、アサーション<自己表現>トレーニングを提供し続けてくださった日本・精神技術研究所への謝意と、日本アサーション協会のこれからを念じた言葉として重なって聴こえてきた。

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